上顎前突とは?
一般的に「出っ歯」といわれる状態です。出っ歯にもパターンがあり前歯だけが前に傾斜することで出っ歯になっているケース、奥歯の噛み合わせが前にズレることで出っ歯になっているケース、骨格的に上あごが前に出ていたり下あごの劣成長で出っ歯になっているケースがあります。検査結果をもとに歯の傾斜角度やズレなどを分析し理想値に近づくように治療計画をたてます。
CASE1
初診時年齢 | 7歳 |
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主訴 | 永久歯が萌える場所が足りない (八重歯になるのでは?) |
口腔内所見 | 上下の顎の骨が著しく小さいことに加え歯のサイズが大きく、上の左右の犬歯、左下の犬歯のはえてくるスペースが完全に不足し、奥歯の噛み合わせがずれて出っ歯の状態でした。 |
診断名 | 上下顎骨の狭窄を伴う上顎前突症 |
装置名 | マルチブラケット装置、ヘッドギア、上顎急速拡大装置 |
抜歯部位 | 上下左右4番抜歯 |
治療期間 | 5年5ヶ月 (マルチブラケット装置治療期間は2年5ヶ月) |
費用の目安 | 820,000円 |
リスク・副作用 |
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治療計画
上顎急速拡大装置(上あごを広げる装置)で拡大し、右側の噛み合わせを改善、側方の歯がはえてくるスペースの確保を図ります。その後ヘッドギアにて奥歯の噛み合わせの改善と上下の顎の骨の成長コントロールを図り、側方の歯が交換終了した時点で奥歯の噛み合わせの状態、スペース、口元の突出感を再診断し上下小臼歯抜歯の必要性を検討します。
上顎・正面・下顎
- 治療前
- 治療中
- 治療後
側面
- 治療前
- 治療中
- 治療後
治療前後横顔
- 治療前
- 治療後
治療結果
■ヘッドギアによる下顎の成長促進
本症例は骨格が(上の顎)前に出ている+下の顎が後ろに後退している状態で、上の顎の成長抑制と下の顎の成長促進を期待しヘッドギアの装着を指示しました。ヘッドギアの協力により奥歯の噛み合わせの状態は出っ歯の状態から正常に改善しました。
■抜歯ケース
再診断で上下第一小臼歯抜歯を決定し治療を行いました。治療後もやや下の顎の後退感は残りましたが、上下の前歯の後退と奥歯の噛み合わせの改善、口元の改善を達成でき、ご本人の満足を得ることができました。
CASE2
初診時年齢 | 11歳 |
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主訴 | ひどい出っ歯 |
口腔内所見 | 上の歯の全体的な並び(アーチ)がV字型で前歯が著しく前に出ていました。上下の奥歯の噛み合わせの関係は上の歯が前にずれており、6.5mm出っ歯の噛み合わせの状態でした。 |
診断名 | 骨格性上顎前突症、アングルII級上顎歯槽前突 |
装置名 | マルチブラケット装置、ヘッドギア、パラタルバー |
抜歯部位 | 上下左右4番抜歯 |
治療期間 | 3年 |
費用の目安 | 800,000円 |
リスク・副作用 |
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治療計画
骨格的に上あごが前に出ていることに対してハイプルヘッドギアで上の6歳臼歯を奥に移動させ上あごが前方へ成長するのを抑制、下あごの成長促進を図ります(顎骨の成長コントロール)。著しい上顎前歯前突(上の前歯が前に出ている状態)に対して、上下小臼歯抜歯を行い前歯の後退を図ります。
上顎・正面・下顎
- 治療前
- 治療中
- 治療後
側面
- 治療前
- 治療中
- 治療後
治療前後横顔
- 治療前
- 治療後
治療結果
■高いモチベーションがもたらす治療効果
成長期の男の子は歯並び・噛み合わせに関しての意識が希薄でモチベーションが低いことが多いのですが、この患者さんは初診時年齢11歳の男の子でしたが、出っ歯のコンプレックスが強く自分で矯正治療をやりたい!!と来院されました。治療期間を通してモチベーションを高く持続され、ヘッドギアや顎間ゴム(上下の歯の装置につけるゴム)の装着をしっかり頑張ってくれたため、顎骨の成長コントロール、奥歯の噛み合わせの改善、前歯の後退などすべてにおいて完璧な仕上がりとなりました。今でも成長期の男の子の初診相談を行う場合に例示させてもらっているケースです。
矯正治療におけるリスクについて
- 1痛みがでる可能性があること
- 2装置に擦れることで口内炎が出来やすくなる
- 3治療への協力度が低いと治療が長引く可能性があること
- 4歯みがきが難しくなるため虫歯や歯肉炎になりやすくなること
- 5治療後、保定装置(リテーナー)を指示通り入れないことや、その他の指導内容が守れない
場合、後戻りする可能性があること
※上記の内容は個人差があるため、全ての方に当てはまるものではありませんので参考としてご覧ください。
なお、記載の矯正装置は完成物薬機法対象外の矯正装置であり医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。