空隙歯列とは?
歯と歯の間に隙間があるすきっ歯といわれる状態で、歯間離開といわれることもあります。装置をつけて隙間を閉じていく治療を行いますが、歯のサイズが小さい(矮小歯)ことで隙間ができている場合は歯を盛り足すなどして治療をする場合もあります。舌が歯を押すことで隙間がつくられる場合や上唇の内側のヒダ(上唇小帯)が下の方に付着していることで前歯に隙間ができている場合など隙間ができている原因により治療方法が異なります。
CASE1
初診時年齢 | 15歳 |
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主訴 | 下の前歯のすきっ歯を治したい、下顎が出ているのが気になる |
口腔内所見 | 下の小臼歯部から前歯にかけて隙間があり、上下前歯は切端咬合(上下の歯の先端が当たる噛み合わせ、受け口)で、上下左右小臼歯部、前歯は開咬(奥歯は噛んでいても、前歯が噛み合わずに開いている)でした。舌がやや大きい印象で正常な位置より下に位置し、嚥下時(飲み込む時)や発音時に上下歯間より突出してくる状態で、上下奥歯の噛み合わせは軽度のアングルIII級でした。(奥歯の噛み合わせの下の歯がずれている) |
診断名 | 下顎の空隙歯列を伴う骨格性下顎前突症 |
装置名 | マルチブラケット装置 |
抜歯部位 | 上顎左右4番抜歯 |
治療期間 | 4年1ヶ月(マルチブラケット装置治療期間は2年5ヶ月) |
費用の目安 | 400,000円 |
リスク・副作用 |
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治療計画
舌の位置が正常より低いこと、突出する癖により下あごの歯並びに空隙を認めることから、舌の機能訓練(MFT)を行い、患者さんご本人が下あごの突出、オトガイ部(下唇の下方)の形にコンプレックスを強く持っておられることから、外科手術と矯正治療を併用することとしました。下あごを後退させるため、術前矯正で上顎左右第一小臼歯抜歯を行い、上顎前歯を後退させ術前矯正で一時的に反対咬合(上の前歯よりも下の前歯が前に出ている噛み合わせ)にし、術前矯正終了後に下あごの後退量を決定し、外科手術を行いました。
上顎・正面・下顎
- 治療前
- 治療中
- 治療後
側面
- 治療前
- 治療中
- 治療後
治療前後横顔
- 治療前
- 治療後
治療結果
■外科矯正と舌の癖の改善
すきっ歯になる原因として顎の骨と歯の大きさの不調和、舌の位置異常や舌が前に出る癖が挙げられます。外科手術で下あごを後退させる治療を行いましたが、舌の機能改善訓練(MFT)ると後戻りが起こりやすいため患者さんのモチベーションを高めることを重要視しました。外科手術後の舌の機能訓練に少し時間がかかりましたが、すきっ歯の改善と外科矯正により顔貌の改善を達成できご本人、ご家族とも大変満足していただける結果となりました。
CASE2
初診時年齢 | 15歳 |
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主訴 | 上の前歯のすきまと歪みが気になる |
口腔内所見 | 上の前歯の真ん中2本が捻じれており間に隙間がある状態で、上あご左右側切歯が矮小歯(歯が小さい)で、左側が反対咬合(上の前歯よりも下の前歯が外側に出ている噛み合わせ)の状態でした。上唇小帯(上唇の裏のスジ)は太く歯肉にきつく付着していました。(上唇小帯付着異常) |
診断名 | 上顎左右側方歯の矮小を伴う上顎正中離開 |
装置名 | マルチブラケット装置 |
抜歯、非抜歯 | 非抜歯 |
治療期間 | 2年4ヶ月 |
費用の目安 | 800,000円 |
リスク・副作用 |
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治療計画
上唇小帯(上唇の裏のスジ)の付着を切除し、マルチブラケット装置にて前歯の捻じれの改善、歯の間のスペース閉鎖を図ります。
上顎・正面・下顎
- 治療前
- 治療中
- 治療後
側面
- 治療前
- 治療中
- 治療後
治療前後横顔
- 治療前
- 治療後
治療結果
■上唇小帯の付着異常の改善
上唇小帯(上唇の裏のヒダ)の付着異常が原因で空隙歯列(すきっ歯)や歯の捻じれを呈するケースをよく見かけます。小帯付着異常をそのままにして矯正治療を進めてもすきっ歯が治らなかったり、矯正治療後の後戻りを引き起こす場合もあります。
■矮小歯に対する治療
また側切歯が矮小歯(歯が小さい)の場合、歯牙サイズのアンバランスにより上下の噛み合わせがうまく治せないことがあり、補綴治療(人工物で補う治療)にて歯の形態の回復を要することがあります。このケースでは側切歯は補綴せずに元の形態のままスペースを閉鎖し、噛み合わせを安定させることができました。ご本人は審美的に気にならないとのことで、満足いただいています。
矯正治療におけるリスクについて
- 1痛みがでる可能性があること
- 2装置に擦れることで口内炎が出来やすくなる
- 3治療への協力度が低いと治療が長引く可能性があること
- 4歯みがきが難しくなるため虫歯や歯肉炎になりやすくなること
- 5治療後、保定装置(リテーナー)を指示通り入れないことや、その他の指導内容が守れない
場合、後戻りする可能性があること
※上記の内容は個人差があるため、全ての方に当てはまるものではありませんので参考としてご覧ください。
なお、記載の矯正装置は完成物薬機法対象外の矯正装置であり医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。